神話、民俗学、考古学、宗教を縦横無尽に駆け巡る、諸星大二郎の漫画がすごい!

「妖怪ハンター」という漫画を初めて読んだとき大変驚いた記憶があります。妖怪と銘打ちながらも、そこには神話、民俗学、考古学、宗教といった要素がないまぜになり、この世界の異界へと扉が開きこの世界には別次元の世界が存在しているんだと、そしてそこの住人達が妖怪というような描きかたをしていたからです。

それは水木しげるや楳図かずおといった漫画とは違う独特の世界観を持った漫画でした。古事記がどうしたとか、遺跡がどうしたとか、若い私にはそのディープ過ぎる知識とイメージの連鎖が、ストレートには入ってこず、なんか誰とも違う唯一無二の漫画家と思いつつも、熱心に読むという読者ではありませんでした。

しかし年月を経て、あらためて 諸星大二郎の作品を読むとその世界観が根源的なものをベースに神話、民俗学、考古学、宗教などを縦横無尽に駆け巡り、異様な説得力で迫ってくるのを感じざる得ませんでした。

特に「暗黒神話」「孔子暗黒伝」となってくると長編のため時空を超えて、さらには根源的なさらにその奥の部分まで描かれ そのスケールの大きさに驚かされます。縄文、日本神話、中国神話、密教、仏陀、老子、インド哲学・・・それら点が線となり結びついてくる。「バイオの黙示録」は遺伝子組み換えからさらに進んだ近未来を描き、まさに終末的な危機感を感じさせるSFで、こちらも独特のテイストがあります。

一体この諸星大二郎なる人物は何者なんだ?と。相当な専門的な深い知識と貪欲さとイメージ力がないと、こんな作品を産み出すことができないだろう。絵を描き物語を構築するぶんだけ、下手な学者などかなわないものを感じさせてくれます。

諸星大二郎はすごいとしか言いようがない漫画家です。

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