ざわざわ、ちょきちょき、うらうらする日本の美術工芸

「ざわつく日本美術」展(サントリー美術館)

サントリー美術館で開催中の「ざわつく日本美術」展(2021年8月29日まで)が、意外と面白かった。日本美術のちょっと変わった見方を提案する展示構成となっていて、逆に私のように日本美術の専門知識が、ほとんどないない門外漢でも、作品の審美眼を問うものではなく、こんなところも見ると面白いですよという構成になっていてそこがよかったりしたわけです。

美術館によると、ある作品を見た時に、思わず感嘆詞がでるような「心のざわめき」は絵を見るための大切なきっかけになると言っています。この展示はそうした、ざわめきを起こすための作品や展示方法を工夫したということなので、それに素直に反応した私は美術館のコンセプトにうまくはまったと言えるのではないでしょうか?

展示はm1.うらうらする 2.ちょきちょきする 3.じろじろする 4.はこはこする 5.ざわざわする という5つの切り口になっていますが、ざわざわ、ちょきちょき、じろじろといった擬態語を小テーマに持ってきているところも面白い。擬態語はその感覚を表現したものなので、その微妙な感性を表現していると思います。

リアルすぎる歌舞伎役者の似顔絵、表と裏の妙、お皿の下にも文字が。能面の裏はどうなってるの?富士と鷹の絵をあしらった超贅沢な蒲団カバー。江戸にもあったスクラップブック。鳳凰だけでも吉なのに4種類の吉祥文様をあしらったお皿、橘・七宝・宝珠・打出小槌・宝瓶・・・などの12種類の宝物、現代で言えばパッピー文様を散りばめた着物、龍や密教法具の三鈷杵などを装飾した入れ物、放屁合戦の巻物など、どれも面白いというか、単に美術作品というわけではなく、そこに生活の潤いが見えてくるのが、見てて楽しい。そんな展覧会でした。

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