仏教19宗派が輪番制で住職を務め釈迦の骨を祀る超宗派の日泰寺
名古屋に覚王山日泰寺というお寺があります。ここには広範囲に渡り墓地があり、コロナ禍で今年、それも私の誕生日に亡くなった母の納骨がなかなかできず仕舞いだったのですが、先日、納骨がやっとできました。
その日泰寺なのですが、HPで見ると意外や意外、実に興味深いお寺でした。というのは、日泰寺にはお釈迦様の骨が仏塔に収められているというのです。お釈迦様の骨を収めているというお話は、由緒あるお寺ではよく聞く話なのですが、この日泰寺の場合はちょっと違います。
1898年にネパールの南側にちかいピプラーワーというところで、古墳の発掘作業中ひとつの人骨を納めた壺を発見したそうです。 その壺には西暦紀元前3世紀頃の古代文字が側面に刻みこまれており、それを解読したところ「この世尊なる佛陀の舎利瓶は釈迦族が兄弟姉妹妻子とともに信の心をもって安置したてまつるものである」と記されてあったといいます。
19世紀当時、釈尊なる人物はこの地上に実在していなかった、釈尊信仰は太陽神話の一形式であるとの見方をしていたそうですが、この発掘によって一変しお釈迦様が実際にいたということが立証されたということになったというのです。このお釈迦様の遺骨は、インドからはタイ(当時シャム)の王室に寄贈され、その一部が日本にもタイより贈られることになった。
そこで日本の仏教13宗56派の管長が協議を開き、明治33年に使節団を派遣。明治37年に名古屋にお釈迦様を表す覚王を山号とし、日タイの友好を象徴する日泰寺の寺号をもった現在の覚王山日泰寺が誕生したという歴史がそこにあったのでした。これまで何度かこの日泰寺に訪れていましたが、そんな由来があるとはついぞ知りませんでした。驚きました。
日本で唯一、お釈迦様の真骨を祀るのがこの日泰寺ということ。
面白いのが、この日泰寺はその建立の経緯により仏教界全体の寺院であり、いずれの宗派にも属していない単立寺院という立ち位置。その運営は19宗派の管長が輪番制により3年交代で住職をつとめている全仏教寺院という特異な存在なのだとか。なので、葬儀や墓地など宗旨・宗派及び宗教(神道・キリスト教等)に関わらず受け入れているとか。共存している所がいいなと思います。