熱風にうなされアリ地獄に落ちていくような・・・シェリタリング・スカイ
映画「シェルタリング・スカイ」 (1990年)
■製作年:1990年
■監督:ベルナルド・ベルトルッチ
■出演:デブラ・ウィンガー、ジョン・マルコヴィッチジル、他
「シェルタリング・スカイ」は1990年の劇場公開、いまから30年前ということになるのですが、そんな古さを微塵も感じさせない眩暈がするような映画です。
渡しには知識がないので国は特定できない(モロッコ?)のですが、北アフリカのサハラ砂漠を舞台に、第2次世界大戦直後、アメリカから訪れた結婚生活に人生にも行き詰まっているように見える作曲家の夫と作家の妻の二人が、熱風にうなされ、まるでアリ地獄の中にでも落ちていくような感覚になる作品。
圧倒的な映像美と微妙なリズムで展開する話は、絶妙な感覚で文学的感性を刺激してきます。
それを支える坂本龍一の音楽が秀逸で、この「シェルタリング・スカイ」の世界観を見事に表現しています。なんといえばいいのか、人生そのものの曖昧で危うげな部分を、魂の彷徨を砂漠という無味乾燥で殺伐とした世界で表現しているような・・・。
若い時にビデオか何かで見たような記憶があるのですが、ほとんど印象に残りませんでしたが、この歳になってみると実に味わい深い文学的かつ詩情あふれるいい映画だなと思いました。ベルナルド・ベルトリッチ監督の映画美の世界に酔いしれます。