現代の魔女とは?をわかりやすく書いた本

「鏡リュウジの魔女と魔法学」鏡リュウジ(説話社)

鏡リュウジ氏といえば、占いの世界でトップの方、知識人と言ってもいい方です。その方による<魔女>についての本。その鏡氏によると「魔術とは意識に変化を起こす術」であり「ユング、フロイトの心理学と神話学、魔術的な宇宙論を組み合わせた独特の宇宙観」であるといいます。

魔女とは悪魔崇拝者と誤解されがちであり、そのイメージはキリスト教にゆがめられたもの。つまりキリスト教流入以前の大地地母神を信仰するため、流入後、古い神々は悪魔、妖精とされそれらを祈る人々は魔女とされてしまったと。

魔女術とはキリスト教以前のヨーロッパ土着の自然宗教の系譜を継承したもので、自然崇拝的宗教の再起運動であり新異教主義(ネオ・ペイがニズム)と呼ばれているもの。エコロジーやフェミニズム運動と共闘していっているものとしています。

しかし魔女と言うと中世のことなのかなと思うのですが、イングランドではつい最近の1951年まで魔女禁止令が廃止されなかったというのですから、驚きです。現代のようにメディアが発達しいろいろなものが白日にさらされてしまう時代まで、人はいかに神話的空間、伝承的空間、宗教的空間の中で生きてきたのかということがわかろうというものです。

現代魔女の創始者と言えばジェラルド・ガードナーで秘伝書として「影の書」を表します。そして現代魔女の第一人者といえばスターホーク、曰く、現代の魔女術は復活でなく、魔女宗教の「再・創造(リ・クリエイション)」なのだと。

『我々は女神を‟信じ”はしないのです。我々は女神とつながるのです。月を、星を、大地を、木々を、動物たちを、外の人々を、そして自分たち自身を通して、彼女はここにいる。彼女は我々すべてのうちにあります。女神は完全な円である。地、風、火、水、そしてエッセンス、肉体、精神、霊、感情、そしてその循環、変容のすべてなのです』(スターホーク)※「鏡リュウジの魔女と魔法学」(説話社)から引用

円とあるのですが、魔女と結びつくのが、「魔法円(ビトウィーン・ザ・ワールズ)」です。魔女の儀式、祭儀はすべて魔法円の中で行われ、魔法円の四つの方位は、地、火、風、水の四大元素に対応し、そこにキャンドルを置きます。それによりこの魔法円は神々の世界と現世の狭間の空間となるというのです。そこは術者を守る結界であり、平面ではなく立体(大きな球体)であるといいます。

<方位と四大元素の対応>
東・・・風、黄色、春、棒
南・・・火、赤、夏。剣
西・・・水、青、秋、杯
北・・・地、緑、冬、円盤

そして、もう一つ象徴的なのがペンタグラム(五芒星)。古くから防御や魔法の力の象徴とされていました。ゲーテの有名な戯曲「ファウスト」ではメフィストフェレスがペンタグラムで動けなくなる場面がでてきます。地球から見ると金星の軌道が五芒星のように見え、ヴィーナス、女性原理の象徴ともされました。日本では安倍晴明によるものが有名ですね。

同じく魔女の道具として、杖(ワンド)があります。この杖は自然に落ちているのを使う(自然を守るという意味がある)そうで、エネルギーの方向付けをする道具と言います。ここで、本書に記載されていましたウィリアム・ウィルソンによる「幸運を招く杖の振り方」というのがありましたので紹介します。

この本は1992年に鏡氏が24歳の時に「魔女術ウィッチクラフト 都市魔術の誕生」と言う本が形を変えて今も出版されているものと、あとがきに書いています。なかなか大したものだと思います。

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