聖なるものは我々の幻想や夢の中で活躍している

『聖なる次元』秋山さと子(思索社)

ユング心理学を日本に紹介した第一人者である秋山さと子さん。今から40年近く前に本を読んだ記憶があります。無意識の世界、夢解釈など、秋山さんの本から多くの見方、考え方を学んだように思います。

ベースとなっているC・G・ユングには、秋山さんの本から入っていき、ユングの著書も読むようになりました。そしてたくさんの影響を受けました。最近、よく言われるシンクロニシティ(共時性)という概念もユングが紹介したものと理解しています。

その秋山さと子さんの著書の中に1976年に出版された「聖なる次元」という本があります。私はこの本を古本屋で見つけ、タイトルに惹かれ購入。人には神々しい、凝縮された、聖なるものと感じることがある時間や空間があり、そこに入ると次元が変化したように感じる。今、よく言われる次元上昇というのも、秋山さんは70年代にすでに本を書いていました。

ところで、秋山さんのこの本、処女作らしい。なので力が入っているのが読んでてわかります。

そこには以下のような文章がありました。

★聖なる次元は人間の理性による理解をはるかに越えるものであるにかかわらず、人間はこれを感情的に体験しそこに価値をみいだすことができる。

★聖なる次元は日常の次元とは別にそれ自体で自律的に存在しているが、問題はこの二つの次元のかかわりの中にあるのであって、そこにきらめく火花の中に人間の生命が流れ、創造が生まれる。

聖なる次元とは? 最近は、世界の聖地を巡る機会が多くなってきたので、古くて新しい時代を見通した、とても興味深い本です 。残念にも絶版になっている可能性が強いので大きな図書館くらいしか出会う可能性がないかもしれません。

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