深夜の映画館、かつて、熱狂の渦の中で長く愛されたカルトな映画たち

ドキュメンタリー「ミッドナイトムービー」(2005年)

■製作年:2006年
■監督:スチュアート・サミュエルズ
■出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ジョージ・A・ロメロ、ジョン・ウォーターズ、他

映画館で深夜に上映されカルト的な人気を得て、その噂が噂を呼んで益々伝説の映画になっていく。その情報のみが、サブカルチャーを扱った雑誌に掲載され、それを観るときは演出わからなさや意味不明さも、オブラートに包んですごい映画と理解してしまう。そんな映画がありました。1970年代初頭のアメリカで誕生し、アメリカン・ポップ・カルチャーに多大な影響を与えたミッドナイトムービーと呼ばれる映画群がそれです。

このドキュメンタリーはそんな映画にスポットを当てたもの。「エル・トポ」のアンドレ・ホドロフスキー監督、「ハーダー・ゼイ・カム」のペリー・ヘンゼル監督、「ロッキー・ホラー・ショー」のジム・シャーマン監督、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のジョージ・A・ロメロ監督、「ピンク・フラミンゴ」のジョン・ウォーターズ監督、「イレイザーヘッド」のデビッド・リンチ監督らをはじめとして、映画館のスタッフなどから当時の様子を探るったのがこの映像です。

びっくりしたのは、深夜に映画が上映されるとき観客はマリファナを吸引しながら観ていたというのだから、一体どんな感じだったの?と。「ロッキー・ホラー・ショー」に至ってはコスプレし映画に合わせて大騒ぎ、数千回観たという客がいるから、どんだけ吸引力があったの?と。

私は上記の6作品のうち「ハーダー・ゼイ・カム」以外は観たことがあります。なかにはデビット・リンチやジョージ・A・ロメロのような巨匠と呼ばれるような監督になった人もいるし、「ロッキー・ホラー・ショー」のようにロックミュージカルとして日本の役者が大劇場で演じるようになった作品もあります。

いずれにしてもこれらのミッドナイト・ムービーは悪趣味という一言で括るのは、よくないのだろうか?悪趣味というキーワードで括られる文化的な現象は多々あるし、それらを研究している人もマイナーな分野だけどもいるし、当時はなんだこりゃ?で括られても後世においてマルキ・ド・サドのように文学的な評価を得るのもあるのだから。つまり悪趣味というジャンルは、潜在的に潜っている人のドロドロした、あまり見たくはないマイナス的な部分を意図的に引き出し、それを文字なり、絵画や映像なりに表現して提示したアンダーグランドな文化的なジャンルであり、ある意味で反美学として確立しているのでは?と思う部分があります。

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