現代美術の作家によるアプローチ~生命の庭~
「生命の庭」展(東京都庭園美術館)
目黒の東京庭園美術館で現代美術の作家らによる「生命の庭」展(2021年1月12日まで)が開催されています。展覧会の案内には以下のようなことが書かれています。
『人は、太古の昔にひとつの生命体として誕生して以来、刻々と変化する地球の過酷な環境に柔軟に適応することで進化を遂げてきた。その過程で高度な知性を獲得したいっぽう、仮想現実に囲まれた日々の暮らしのなかでは、人間が自然の一部であるという感覚をつねにもつことは難しい。コロナ禍により、そんな自然との新たな関わり方が求められているいま、私たちが本能的に有している感覚を取り戻す手段として、アートの役割が注目されている。』(生命の庭チラシより引用)
現代美術は<絵を描く>という単純かつ分かりやすい行為が、人類の歴史から始まり、手法の発達、思想の変化など螺旋状に発展し、今ではとても難しい分野になっていると言えます。それは単に絵が上手!というレベルでは収まらなくなり、美術という行為が観念的であり、抽象的であり、ある意味で思考や感性を極限にまで研ぎ澄ましているので、美術的な素養がないとちょっととっつきにくいジャンルになっていることは否めません。
実際、私も会場で様々な作品を見るにつけ、難解な感じがして頭の中がクエスチョンマークだらけ・・・というのも本音でした。その中で、驚いたものがありました。それは作家によるコロナ禍で起こっていることをノートに記載しているものですが、紙面一杯に小さな文字でそれらの出来事が目いっぱい埋められていたのでした。このノートを見た時に、その作家はただものではないと思わされました。この精神で作品づくりに取り組んでいるのか・・・。彼の思考はどんな感じになっているのだろうか?ある意味で凄みを感じたのです。
ところで美術館は、目黒の緑豊かな自然に囲まれた旧朝香宮邸。ベンチに座ってほっとするのもいい時間・・・。