Go to 陰陽道! 異界?安倍晴明ゆかりの地を散策したこと

2020年8月23日から4連休となり、コロナ禍の中、政府による観光業の刺激策としてゴー・トゥ・トラベルのキャンペーンがスタート。一方で感染者数が増えて不安な声も(ただし、単純に数が増えた~というだけではなく、検査数が増えているということや、発症率や重症化率なども冷静に見ていかないといけませんね)。世論に押されるような形で、直前で東京の発着は対象外となるドタバタ。小池知事は連休中の外出は控えてとコメントするニュースが流れるばかり・・・。

もともとどこかへ出かける予定はないのだけれど、今書店で発売されている写真のようなムック本を見かけるとどこかに出かけたくなりますね。魔界とか異界とかのキーワードがつくと、なぜかそそられるんです。ただし、現代の霊がでるとかの心霊スポットは好きではありません。怖いのは嫌いなので。あくまで歴史的な場所。その中で、東西の双璧はというと平将門と安倍晴明となるでしょう。一人は、逆賊とされ怨霊となり、かつ、関東の守り神、もう一人は日本最強の陰陽師です。

10年くらい前に起こった安倍晴明ブーム、私もそこで関心を持ち、もう少し深堀りしたくなったりしました。まずは、京都晴明神社へ、そして各地にある晴明ゆかりの地を歩いたりしました。正直、コロナの状況に疑問符が浮かんでしょうがない私なのですが、世の流れにそって行動は自粛傾向に(それにしても、そうした期間が長いっス。疲れる~)。ということで、思い出の中のGo to 陰陽道!過去に行った各地の安倍晴明のゆかりの地を散策したものをまとめてみました。

★京都市・晴明神社

平安時代のスーパースター、陰陽師・安倍晴明の屋敷跡に建てられたという京都の晴明神社。安倍晴明は小説、漫画、映画、ドラマとすっかりおなじみ。この時代の著名人は?と聞かれたら安倍晴明の名前を出す人も多いんじゃないかと思います。呪術にも長け、式神を操ったという伝説の人物。私は40年近く前、学生の時は京都に住んでいましたが、晴明神社の存在さえしりませんでした。今では土産物屋もあるという繁盛。時代は移ろうものなのだと思うわけです。

★京都市・晴明墓所

京都の嵐山、観光地なので注意しないと通り過ぎてしまう場所に、安倍晴明の墓がありました。五芒星が、おおっと思わせてくれます。ただし、晴明の墓はこことされているのですが、実のところ本当の墓であるのかは、謎のようです。

★京都市・大将軍八神社

大将軍とは陰陽道で八将神のひとつで吉凶を司る神、この神がいる方位は凶とされ禁忌が発生するといいます。この神社には100体以上の珍しい神像があり貴重な文化遺産を保有しています。そして何を隠そう、今から40年前、学生として京都に下宿した場所がこの近所だったのです。当時は、そんなこと露知らず神社の前を通り過ぎて、近くに住んでいた先輩の下宿を訪ねたりしていました(笑) 今は妖怪ストリートと銘打っていますが、ほとんどさびれている感も・・・。

★京都市・長仙院

京都のロフトの近くにある長仙院には安倍晴明の坐像があるということを何かで知って、それを拝見に行ったときの写真です。どういった経緯で安倍晴明坐像があるのかわかりませんが、像があるというだけでその存在感を感じます。

★京都市・赤山禅院

京都の表鬼門の場所に建てられ鎮護する赤山禅院、拝殿の屋根には鬼門除けの猿がいます。赤山明神は元は中国の山の神だったのが、道教の泰山府君と習合されたとのこと。この泰山府君は人の生死を司り、また死後に亡者をその罪に従って裁く神とされる(閻魔のような?)ため、安倍晴明も泰山府君祭をやったとか・・・。しかしここは道教の寺院ではなく、延暦寺の別院なのです。

★大阪市・阿部王子神社と安倍晴明神社

阿部王子神社を通っている道は古くは熊野街道と呼ばれていたそうで、京都から熊野三山に至る道でありました。王子の名は、熊野参詣途中の休憩と遥拝の場を意味し、地元の豪族であった阿部氏の氏神に、熊野神を合祀したということらしい。 また安倍晴明は、その阿部氏の出で父である安倍保名が和泉の葛之葉姫(白狐)と結ばれ、この地で晴明が生まれたとされ産湯井の跡があり、そこに安倍晴明神社が建っています。

★大阪府和泉市・信太森葛葉稲荷神社

歌舞伎などの題材にもなった白狐伝説「葛の葉物語」。安倍保名に助けられた白狐が、報恩のために妻となり子供をもうける、それが安倍晴明という。人間と人間ではない種の結婚という異類婚姻譚の説話なのですが、安倍晴明の能力を現しているエピソードのひとつかもしれません。近くの聖神社にも同様の伝説が伝わっており安倍保名が訪れたのはここという話もあるそうです。「恋しくば尋ね来てみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」

★名古屋市・晴明神社

名古屋に晴明神社?ナゴヤドーム近くにその晴明神社があります。かつて安倍晴明がこの地に居住していたという言い伝えがあるそうです。一時の晴明ブームで参拝客が増えたそうです。ここには七不思議があるみたいです。

★名古屋の晴明塚

名古屋からすぐの愛知県あま市に安倍晴明が祈祷したとされそこにの晴明塚があります。下記にも記載していますが、晴明はいろいろなところに出没しているという印象です。

★福井県敦賀市・晴明神社

安倍晴明はこの敦賀で天文学を研究したそうで、なぜかというと陰陽道は中国の陰陽五行説をベースにしているので、交易の場として栄えた敦賀はそれを学ぶに都合がよかったという説があるようです。拝殿には、陰陽道の研究に使ったとされる『祈念石』が鎮座しています。

★福井県・ 天社土御門神道本庁

福井県の山間部にある旧・名田庄村。ここには土御門(=安倍家)神道本庁があり、脈々と陰陽道が継承されています。泰山府君、鎮宅霊符神、安倍晴明を祀り、晴明の像や掛け軸などを見ることができました。裏手には安倍家の墓や星まつりをする祭場もありました。10年位前に行ったので現在はどうなっているんでしょうか?後継者の方は、年配者だったので・・・。

愛知県岡崎市・晴明神社

安倍晴明が諸国遊歴の際、この岡崎にも居を構え、夢のお告げにより掘った井戸から霊水がでてきたという伝承があるそうです。商店街にある晴明神社と地域の公民館と一体化した?晴明神社も。

静岡県磐田市・福王寺

静岡県にも安倍晴明の痕跡があります。福王寺は曹洞宗のお寺なのですが、当時たまたま京都から諸国遊歴の旅で来ていた晴明がこの地域に暴風が吹いており、祈祷によって鎮めたという伝説があるそうです。なのでそこには、五芒星の晴明大権現堂や祈祷したという場所などがあります。

★鎌倉市・晴明石

安倍晴明は鎌倉にも立ち寄っており、祈祷をしたという場所があり、石碑が建っています。晴明はいろいろな場所に出没している感があり、もしかしたら複数いたのでは?当時の都にいた陰陽師は地方に行くとすべて安倍晴明と名乗っていののではとか?なんて想像してみたりします。

道教の影響を受けて独自に発展した陰陽道

ちなみに陰陽道は、古代中国に起源がある陰陽五行説など道教の断片が移入され、天文学や暦学を用いて占術、呪術、祭祀を行い、日本で独自に発展をとげ確立したものと言われています。この陰陽道は、陰陽寮として官僚機構として7世紀に導入、律令制のもと安倍晴明をはじめとする陰陽師は、多くの祭祀をしたり、朝廷・貴族が建物を建てるときや遊行する際、日時や方角の吉凶などを占ったといいます。

陰陽道は道教の占星術や霊符なども取り入れた他に、道教神である泰山府君の祭祀も行っているので、独自発展したとはいえベースには道教の影響を受けていると言えるでしょう。

2009年に大規模に開催された「道教の美術 TAOISM ART」展、多くの展示物が出たのでそのカタログも相当な分厚さになるのですが、ここにおいても独自発展した陰陽道の紹介がありました。このカタログは貴重なものとして私とっては処分できない本の一つです。

三井記念美術館で開催された展覧会の400ページを超えるカタログ

陰陽道にも影響を与えた道教、8月1日(土)には台湾の道教廟・指南宮から疫病退散の儀式をLIVE配信する予定。これもコロナ禍時代ゆえの企画と言えますね。

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