自分は思い込みだらけだと気づかせてくれるベストセラー本

「FACT FULNESS(ファクトフルネス)」(ハンス・ロスリング他著)を読む
「FACT FULNESS(ファクトフルネス)」という本が、昨年(2019年度)のベストセラーになっています。端的に言うと、人は思い込みで世界を見ている。実際は、その思い込みとは違う現実がある。事実を見ていこうという本。
きっかけは、昨年、元舩井総合研究所の会長であった小山政彦さんから、この本にも掲載されている質問事項のテストを受けたことによります。小山さんの事務所には1~2ヶ月間隔に1回程度、私の上司でもある本物研究所の佐野浩一社長とお伺いする機会があるのですが、そこで 「FACT FULNESS 」に掲載されている質問に答える機会がありました。結果、正解率はかなり低いものに・・・。著者によると、エリート層や知識人層に同様のテストをしても正解率がかなり低いそうです。
つまり、いかに私たちは思い込み、先入観で世界を見ているか?ということを教えてもらったのです。そうした思い込みで物事を判断すると違った展開になることもある。事実を的確に見ましょうということです。
この 「FACT FULNESS 」は、その時同席していた佐野社長からプレゼントされたもの。しばらく積ん読になっていたのを、読み始めてみました。実際、読んでいくといかに私たちが自分にとって都合がいいように、見ているかということがよくわかる内容でした。そうした本がベストセラーになっているのも頷けます。
そしてコロナ禍となり、テレビや新聞、ネットでは様々な意見が飛び交う、身近な人でもそれらの受け止め方が違うという現象がみられ、何が何だかわからなくなる精神状態にも私自身なっていることを感じていました。そうした時ほど「 FACT FULNESS 」的見方というのは、重要になってくるということになるのでしょうが、そもそもの情報ソースが正しいのかということや、いずれも正直どれもそうだよな~と思えてしまう日和見の私なのです(笑)
ということで、本書からその質問部分の一部を抜粋してみました。
質問1 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?
 A 20%
 B 40%
 C 60%
質問2 世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?
 A 低所得国
 B 中所得国
 C 高所得国
質問3 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?
 A 約2倍になった
 B あまり変わっていない
 C 半分になった
質問4 世界の平均寿命はおよそ何歳でしょう?
 A 50歳
 B 60歳
 C 70歳
質問5 15歳未満の子供は、現在世界に約20億人います。国連の予測によると、2100年に子供の数は約何人になるでしょう?
 A 20億人
 B 30億人
 C 20億人
   ・
     ・
     ・
こうした質問が、全部で13問ありその正解をみていくというものです。詳しくは本にあるので、気になった人はぜひ本を購入してみてください。(正解はこの文末に)
ということでそうした思い込みをなくしていくためには、どうしていくべきかという方法論が本に記載されて入り、以下、本書からその部分を抜粋しました。今は、たぶん、本書でいうところのネガティブ本能、恐怖本能、過大視本能、犯人捜し本能、焦り本能・・・といったものが人の心を覆っているのかもしれませんね。ひとつの参考として面白い本でした。
ファクトフルネスとは?
(1)分断本能
 ⇒世界は分断されているという思い込み
 話しの中の「分断」を示す言葉に気がつくこと
 ・平均の比較に注意する
 ・極端な数字の比較に注意する
 ・上からの景色であることを思い出す
(2)ネガティブ本能
 ⇒世界はどんどん悪くなっているという思い込み
 ネガティブなニュースに気づくこと
 ・悪いと良くなっているは両立する
 ・良い出来事はニュースになりにくい
 ・ゆっくりとした進歩はニュースになりにくい
 ・悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない
 ・美化された過去に気をつける
(3)直線本能
 ⇒世界の人口はひたすら増え続けているという思い込み
 グラフは真っすぐになるだろうとという思い込みに気づくこと
 ・なんでもかんでも直線のグラフに当てはめないようにする
(4)恐怖本能
 ⇒危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
 恐ろしいものには、自然と目がいってしまうことに気づくこと
 ・世界は恐ろしいと思う前に、現実を見る
 ・リスクは危険度と頻度、言い換えると質と量の掛け算で決まる
 ・行動する前に落ち着く
(5)過大視本能
 ⇒目の前の数字がいちばん重要だという思い込み
 ただひとつの数字が、とても重要であるかのように勘違いしてしまうことに気づくこと
 ・比較する
 ・80・20ルールを使う
 ・割り算する
(6)パターン化本能
 ⇒ひとつの例がすべてに当てはまるという思い込み
 ひとつの集団のパターンを根拠に物事が説明されていたら、それに気づくこと
 ・同じ集団の中にある違いを探す
 ・違う集団のあいだの共通項を探す
 ・違う集団のあいだの違いも探す
 ・過半数に気をつける
 ・強烈なイメージに注意する
 ・自分以外はアホだと決めつけないようにする
(7)宿命本能
 ⇒すべてはあらかじめ決まっているという思い込み
 いろいりなもの(人、国、宗教、文化)が変わらないように見えるのは、変化がゆっくり少しづつ起きているからだと気づくこと
 ・小さな進歩を追いかける
 ・知識をアップデートする
 ・おじいさんやおばあさんに話を聞く
 ・文化が変わった例を集める
(8)単純化本能
 ⇒世界はひとつの切り口で理解できるという思い込み
 ひとつの視点だけでは理解できないと知ること
 ・自分の考え方を検証する
 ・知ったかぶりはやめる
 ・めったやたらとトンカチを振り回さない
 ・数字は大切だが、数字だけに頼らない
 ・単純なものの見方と単純な答えには警戒する
(9)犯人捜し本能
 ⇒誰かを責めれば物事は解決するという思い込み
 誰かが見せしめとばかりに責められていたら、それに気づくこと
 ・犯人ではなく、原因を探す
 ・ヒーローではなく、社会を機能させている仕組みに目をむける
(10)焦り本能
 ⇒いますぐ手を打たないと大変なことになるという思い込み
 いますぐ決めなければならないと感じたら、自分の焦りに気づくこと
 ・深呼吸する
 ・データにこだわる
 ・占い師に気をつける
 ・過激な対策に注意する
<ファクトフルネスの大まかなルール>
1.分断本能を押さえるには・・・大半の人がどこにいるかを探す
2.ネガティブな本能を抑えるには・・・悪いニュースのほうが広まりやすいと覚える
3.直線本能を抑えるには・・・直線もいつかは曲がることを知る
4.恐怖本能を抑えるには・・・リスク計算をする
5.過大視本能を抑えるには・・・数字を比較する
6.パターン化本能を抑えるには・・・分類を疑う
7.宿命本能を抑えるには・・・ゆっくりた変化でも変化していることを心に留める
8.単純化本能を抑えるには・・・ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておく
9.犯人捜し本能を抑えるには・・・誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じる
10.焦り本能を抑えるには・・・小さな一歩を重ねる
上記の質問の正解となります。本来は全部で13問あります。 (正解)1:C、2:B、3:C、4:C、5:C



