映画史に残る魅力的なヒロイン、泣き虫ニキータ

映画「ニキータ」(1990年)

■製作年:1990年
■監督:リュック・ベンソン
■出演:アンヌ・パリロー、ジャン=ユーグ・アングラード、チェッキー・カリョ、他

リュック・ベンソン監督の出世作「ニキータ」。この「ニキータ」は何度かリメイクされたり、テレビドラマ化されたりと、世界的に見ても大きな共感を得た映画として知られています。リュック・ベンソン監督にしても「ニキータ」以前と以後では大きな違いがあるように思いますし、本人もそのような発言をしていることをどこかで読んだような記憶がありま((曖昧ですが)。

久々にその「ニキータ」を見て、すごく面白いとあらためて感じましたし、リュック・ベンソンは意外と細かくこだわって描いているなあと、つまり、最近の作品はこなれた感じでテンポよく作られているのに対し、じっくりと味わうように作っている印象を持ったのでした。

また、泣き虫ニキータと当時の宣伝文句にあったように、容赦ない指令とともに、それまで味わったことのない目の前のささやかな小さな幸せの間で苦しみ、涙を見せるニキータに、実は自分がまいた種と見る側は思いつつも、その過酷な運命に対して涙をふいて気丈に立ち向かっていく姿に思わず心が動かされてしまいます。今見てもなんと魅力的なヒロインなんだと。

終わり方もよくって最後の組織から逃亡していく姿を見せずに、残された男二人の会話で終わらせるというのも余韻を引きずり、とてもいいのです。余韻という言葉があるのですが、ここまでラスト近くから引き込まれて余韻を残させる映画は滅多にないように思います。少なくともその後のニキータが気になってしょうがありません。幸せになったのだろうか?組織に追われる身となりゆっくり寝るのも覚束ない生活なんだろうか、とかいろいろ考えてしまうのです。そう思わせるベンソン監督の思惑通り?

とにかくニキータというこの映画のヒロインが、素晴らしく魅力的に描かれ、タイトルにその名前が付いていくことによりヒロインが、より鮮明に浮き上がってくることになる。つまり、ヒロインが映画の枠を越えて一人歩きしていくという効果。事実、ニキータは映画としてリメイクされ、さらにテレビドラマにもなっていくことになるわけですから。

ちなみにリメイクされたタイトルに「アサシン(暗殺者)」という映画があるのですが、どこかピンとこないです。やっぱり「ニキータ」でないと。映画史において歴史的な、とは言い過ぎですが、稀有なヒロインが誕生した、それがニキータであると。彼女は時代を越えて人々の共感を呼ぶため何度も映像として登場することになる!と書きたくなるほどに魅力的なヒロインではないかと、今回、思ったのでした。

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