名画の謎を面白おかしく読み解く本
「名画の謎」中野京子(文春文庫)
著者の中野京子氏は「怖い絵」という本が数年前に話題になり、2017年には「怖い絵展」という展覧会を美術館が開催するなど、地味な美術の世界でブームを作った方です。その中野氏が「名画の謎」として旧約・新約聖書をテーマとした西洋美術の絵画からユニークな解説を加えた本です。
さすがブームまで起こした中野氏の文章は面白い。
聖書の世界をわかりやすく説明しながら、絵画の解説も言及し、さらにそれを身近にかつ、ユーモアも交えながら進める筆は、一粒で二度美味しいのです。つまり、私にとって馴染みの薄い聖書の世界がわかりやすく、そして、美術の知識の得ることができるということ。
我々からすると聖書の世界はおかしいと感じるところが多々ありながらも、逆の視点から見れば、狐(=稲荷のこと)を拝む変な国が日本、なんていう表記などがあり、中野氏の視点がユニークだなあと思えるのです。売れるには売れるなりの理由があるというのが、本書を読んだ感想です。
名画の謎 旧約・新約聖書篇 (文春文庫)