密かに隠されたことはシンボルで表現

「シンボル・コードの秘密」ティム・ウォレス=マーフィー(原書房)

ティム・ウォレス=マーフィー著「シンボル・コードの秘密」を読みました。著者のティム・ウォレス氏は、あの世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」のダン・ブラウンに多大な影響を与えた人物として知られる人ということです。

様々な教会建築に見ることができる西洋文明の隠された異端とされるメッセージ。それは古代エジプトから、脈々と伝わる秘儀参入のシンボルが、時代の変遷を経ながらも、わかる人にはわかるというサインで残されているという。

レックス・デウス、マグダラのマリア、黒い聖母、ドルイド教、タロット・カード、テンプル騎士団、グノーシス主義、カタリ派、聖杯伝説、カバラ、スーフィー・・・。公には語られることがなかった裏の歴史に焦点をあて、紐解いていく。これは歴史ロマンと言うべきものでしょう。まさしく「ダ・ヴィンチ・コード」がそれをエンタテイメントに仕上げて世界的なムーブメントとなったのでした。

ところで隠されたシンボル、実際、現場に行って感じることがあります。たとえば、イスラエルの死海文書が発見されたクムラン。そこで見た現地の紹介映像、エッセネ派とされる修行的な要素の強い古代ユダヤ教徒。その姿は日本の修験道の行者にそっくりだったし、そもそも禊をするなんて、これは一体?と感じずにはいられませんでした。

トンデモと思われがちなことも、体感的、経験的に、もしかしたらと思えることがあります。それは、検証と証拠がないと認められない判で押したような教科書的な歴史と現場で感じる時空を超えた直感の違い、しかし、火のないところに煙はたたずなのです。

この本の中でも度々出てくるのが『カバラ』。たとえばこんなことが書かれています。「カバラにおける神の慈悲の伝統と一致する。(この言及は、黒い聖母に緑の衣を着せる聖地も多いという文章を受けている)セフィロトの樹に二本の柱のおかげで、人は第三の柱を見ることができ すべてに真の宇宙の均衡がもたらされるのだが、その宇宙の均衡も緑色で象徴される。」

カバラの生命の樹=セフィロトの左右の柱は男性と女性を表しており、その真ん中が均衡の柱。陰陽の統合。私は上記の一文を読んで、仏教における密教のマンダラや道教におけるタオの陰陽のシンボルを想起しました。腑に落ちるかどうか?私はそれがとてもシンプルなイメージなので、イメージの連関性に納得できた訳です。均衡の象徴的な色が緑というのも、豊かな自然をイメージさせますし・・・。

※著者のティム・ウォレス氏には、オーラソーマの武藤悦子さんとフランスに行った時に一緒に食事をする機会がございました。高齢だった氏は、その後、お亡くなりになったとか。ご冥福をお祈り申し上げます。

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