フランス植民地主義の傲慢を描く

映画「インドシナ」(1992年)

■製作年:1992年
■監督:レジス・ヴァルニエ
■出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ヴァンサン・ペレーズ、他

映画「インドシナ」は、1992年アカデミー外国語映画賞、ゴールデングローブ賞 外国語映画賞、セザール賞を受賞している作品なんですが、西洋社会から見たアジアという色が濃い作品。カトリーヌ・ドヌーヴが演じるエリアーヌが植民地時代のインドシナでゴム園を経営する物語です。彼女の養女でベトナム人のカミーユが、フランスの軍人バティストとの出会いをきっかけに、ベトナム独立運動に巻き込まれていく様子が描かれています。

映画は、フランスの植民地支配の帝国主義の傲慢さとその矛盾を描き出しています。エリアーヌとカミーユの関係は、フランスとインドシナの関係を象徴しており、エリアーヌがフランスの理想と現実の乖離に気づいていく過程が描かれています。カミーユは、ベトナムの象徴として、自身のアイデンティティを見つけ、エリアーヌから自立していきます。そうしたことを見ていると、フランスはベトナム人をほんと人として見ていないな、と感じます。個性ある人物として描かれているのはカミーユ一人、ベトナム人の描写は類型的であり、フランス人の自己都合ばかりが詳しく描かれている。それが帝国主義の現実を表しているかのようだった。

公開時、冒頭に書いたように、各種賞を受賞した作品ですが、エピソードの羅列的要素が強く、行動のベースにある人物たちの動機や考え方の表現が弱いイメージがあり、<植民地支配をしていたフランスから見た>という印象は否めません。

それはそれとして、映画の舞台となる美しいベトナムの風景が映し出され作品の魅力を引き立てています。私は、ベトナムに行ったことがないが、映画を見ていると言ってみたくなります。自然の表現が美しい、風景に感動させられた。

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