150年目のアリス、うさぎに導かれていった私
現在、51コラボでは【不思議の国のアリス~叡智の迷宮へようこそ~】という、全部で9時間を超えるヴァラエティに富んだオンライン配信企画を実施しています。そもそも、なぜアリスなのか?ということ。
そのきっかけになったのは、51コラボでは毎月サブスク会員向けにプレゼント企画を実施しているのですが、来月はなにをプレゼントにあてようかな?と頭のどこかの片隅で思っているのですが、ある時商業施設をブラブラしていたら、素敵なウサギのお面が目につきました。それはプレゼントに向かないなと思いつつも、突然、「不思議の国のアリス」というキーワードがふってきました。
アリス?ちゃんと読んだこともないのに・・・。しかし、20年くらい前、ハードカバーの「不思議の国」と「鏡の国の」アリスの本を購入していて、本棚にあるんです。それも2回の引っ越しに耐えて処分されることもなしに。なぜ購入したのか?どこかでアリスの話は、児童文学を超えたすごい本なんだとどこかで聞いたのか読んだのか、そんなことが頭の隅にあったのかもしれません。
それが、突然「不思議の国のアリス」というキーワードが降って来たので、自分自身、驚いたわけです。そこでさっそくアリスの書籍はどんなものがあるか調べてみました。そうすると、文化現象を正面から取り組んでいる青土社から出ている骨太の「ユリイカ」にアリスが特集されているではありませんか?それも責任編集として高山宏先生の名前が。高山宏先生と言えば表象文化論を論じる代表的な知識人の一人です。
さっそく購入すると、なんと一等最初に出てきたのは女優の真行寺君枝さんの創作詩でした。びっくりです。真行寺さんとは古い友人の尺八奏者・中村明一さんの企画で、上田秋成の雨月物語の朗読公演を実施たことがありましたから。私の世代では、揺れる眼差しのCMで憧れの女優さんの一人、意外と彼女マニアックなんです。とにかく真行寺さんの名前を見かけた時は、これは「不思議の国のアリス」の企画を考えろってことに違いないと、思わざる得ませんでした。
そして、真行寺さんにアリスの話を持ちかけたら、それであればアリス研究の第一人者の高山宏先生もそこに参加したほうがいいですよ、私、知り合いなので、と。えぇっ、と驚き高山先生と会うことに・・・。
さらに中村明一さんが、四方田犬彦先生を知っているので、どうだろうか?と。四方田先生と言えば詩人にして映画誌のトップで日本を代表する論客。驚くばかりでユリイカにその四方田先生が寄稿しており、そこにアリスに捧げる詩を掲載していたのでした。
不思議の国のアリス、ユリイカを起点として、高山宏先生、四方田犬彦先生、真行寺君枝さん、中村明一先生とメンバーが決まってきたのです。
私は仕事柄も含めて、スピリチュアル系の講師の方の知り合いが多いのですが、ある時「今、不思議の国のアリスの企画を考えているんですよね」と雑談をしていたら「私、アリス大好きなんです。コロナ禍じゃなかったらイギリスへアリスを探してという旅をしたかったんです」と。これまた驚き、他の講師に聞くと「私もアリスが好きで、グッズもっていたり、過去に企画を立てたりしたことがある・・・」なんていう返事が。
ということで、「スピリチュアル・アリス」というコーナーを作って、暁玲華さん(古神道)、石川楓花さん(ケルト・妖精)、石田博実さん(カバラ)、和泉貴子さん(クリスタルボウル)、廣田雅美さん(カバラ・色)、吉田ルナさん(カバラ)という6名のスピ系講師の方々にも「不思議の国のアリス」について語ってもらうことにしました。
さらにジュネさん(アカシックリーディング)という方が、お話とアリス・ヒプノというオリジナルの瞑想を提供してくれることになりました。不思議の国と無意識の世界は相性がいいというか、見え方、切り口が違うにせよ、源流としての世界は同じなのかもしれません。そこに気づきました。
結果どういうことになったかというと、出揃った企画を見たアリス研究の第一人者で、六本木のアリス展のカタログの監修をしている高山宏先生が、お世辞抜きでこれは素晴らしい。作者のルイス・キャロルは英国心霊協会に絡んでいてオカルト的な部分(いまでいうスピリチュアルな部分)を無視することができない、本当は不思議の国のアリスはその部分を無視できないのに、日本のアリス研究はそこを取り上げてこなかった。そこをピックアップした企画は初めてであり、朝日新聞が主催のアリス展が<表>なら、君のやった企画は<裏>だよと一時間近く電話で熱く語ってくれ、おまけに原稿用紙3枚にも及ぶ原稿を送ってくれたのです(その原稿はコチラ)。
そんなわけで、まるでアリスのように、うさぎのお面に導かれた私はシンクロニシティの連続で【不思議の国のアリス~叡智の迷宮へようこそ~】という企画を実現することができたのです。ユリイカも昔からとても気になる本で、何冊も持っています。不思議なうさぎが引いたレールの上を歩んでいるような気がしています。
ユリイカ 2015年3月臨時増刊号
総特集:150年目の『不思議の国のアリス』
■アリスの現在
・本朝ありす御伽 ミメーシス(真行寺君枝)
・生命誌は「不思議の国」(中村桂子)
・ルイス・キャロルから日本のオタクへ(嶽本野ばら)
・ダウン、ダウン、ダウン–支えのない世界へ(澤野雅樹)
■アリスに誘われて
・ゆめみていたのはだれ(河合祥一郎)
・アリス・スイート Alice Suite(四方田犬彦)
・アリス・クメールスマイル(恩田侑布子)
・タプロバネ島の姫君『ラーマーヤナ』による変奏曲(中野美代子)
■越境性
・アリスに耽るピンチョン–『重力の虹』への導入として(佐藤良明)
・不思議の国から吹く微風–アリスとロリータ(若島正)
・わたしが夢みるわたし(富田広樹)
・漢字の国のアリス(佐々木睦)
■徹底討議
・『不思議の国のアリス』のアメリカニズム(巽孝之×高山宏)
■少女
・アリスの違和感(安藤聡)
・アリスは大人になれるのか? 不思議の国の形而上学とイニシエーション(東ゆみこ)
2・1世紀のアリスたち(学魔ガールズ研究隊)
■新訳への挑戦
・フシギの国(くに)のアリス 第一章(柴田元幸)
・気がふれ茶った会 第7章(高山宏)
■表象
・ヤン・シュヴァンクマイエルとアリス、あるいは子供部屋の想像力(赤塚若樹)
・チェシャー猫と不可視のワンダーランド(浜野志保)
・アリスとファントマ–ジョルジュ・フランジュ『ジュデックス』にみる悪意 マリス (赤塚敬子)
・映画の国のアリス(木下信一)
■論理
・デジタル・アリス–チャールズ・バベッジとコンピューター言語(松本朗)
・150回+無限回目の気違い茶会のための3つのパズル(伴田良輔)
・暗号の国のアリス–キャロルと数秘術(木場田由利子)
■夢みる術
・法廷の夢(E・シューエル/吉田朋正 訳)
・ノンセンスを生む夢技術(K・ライヒェルト/原 研二 訳)
■消費されるイメージ】
・キャロル狩り(小谷真理)
・アリスが地下に落ちる、金本位制が崩れる–1973年のふたつの出来事(亀澤美由紀)
■熱狂
・初音ミク、うさぎを追う(Pipi*coco)
・遠くの国のアリス(鴨澤めぐ子)
・アリスを探して(ゆめのゆき)
・ピープショーの覗き穴から、アリスを追って(吉田稔美)
■イギリス文化の源泉】
・ルイス・キャロルのことばと文化 いきものたちのものがたり(安井泉)
・『アリス』とビートルズとマザーグースの不思議な関係(夏目康子)
■近代化
・テーブル・コーディネーター–『不思議の国のアリス』の近代(高山宏)
・『アリス』からの見取り図(D・サドヴォルナ=フェレスタット/和気一成 訳)
■劇的空間
・劇場のアリス(垣花理恵子)
・見世物小屋のハンプティ・ダンプティ–寺山修司のドラマツルギー(梅山いつき)
■Visual
・ヒグチユウコのAlice(ヒグチユウコ)
・Tateishi Wonderland(建石修志)
・佐々木マキの「鏡の国のアリス」(佐々木マキ)
51コラボで企画した「不思議の国のアリス」をテーマとした9時間を超えるオンライン配信コンテンツ。アリスの謎に迫る話や、オリジナルのアリス・ヒプノ、音楽と詩の朗読のパフォーマンス、マジックなど、見ごたえたっぷりですよ!(下記の画像をクリックするとそのページに移行します)
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