悪魔絵の変遷をとおして人の善悪の視点の変化を知る

昨日「デビルマン」に関する記事をアップしたからではないが、書店で「悪魔絵の物語」という本を見つけ購入。ここでは主に西洋美術を中心とした悪魔の図像を紹介している。

手元にイメージ・シンボル辞典なる本があるので悪魔を何て書かれているかを牽いてみた。

demon 悪魔
a ユダヤ人にとってはヤハウェとほぼ同格の神であり(daiom)、神の位より下の精霊である。サタン(「敵」という意味でのちに固有名詞になった)は同様に神の召使いであり、ヨブを誘惑するために神の許しを得る。また「荒野」に生息する悪魔である。アザゼル(azazel)と同じく生贄のヤギでもありし、リリス(Lilith)と同じく吸血鬼でもある。b ギリシャ、ローマでは非業の死を遂げたものは復讐鬼となった。他のもの達(非業の死を遂げないもの)は復讐の三女神、ハルピュイアHarpies、レムレスLemures(死者の亡霊)など共同の復讐を求める悪霊になった。そしてそういった亡霊の他に力になる守護霊(numina)もいる。

Satn サタン
1.「大敵」erct-enemyとして「ヨブ」1,6に初めて登場する。(神は世の中の善行しか見ないので)サタンは、放浪中に目撃したすべての悪事を報告する。神の常なる敵、混沌の竜(ラハブ、もしくはレビヤタン)と同一視される。2.角と丸い大きな目と爪と尾など、あるいはこれらのいずれか1つをもつ。3.キリストとは黒対白の大局的な関係にあるが、両者とも神の子である点で兄弟関係にもある。キリストの再降臨の際は、サタンは千年間太い鎖でつながれるだろう。4.魔女の神で、魔女集会のときはその地域の首領の姿をとり、中心的役割をはたす。5.ブレークは、サタンをできそこない、蒙昧の極限(=ヤハウェ)とみなし、ミルトンが神より強くたくましく描いているのを非難した。

※「イメージシンボル事典」アト・ド・フリース著(大修館書店)より引用

本はムック形式なのでパラパラと読みやすい。伝統的な悪魔の絵とともに、それらに関連するであろう現代的な絵もあります。

たとえば私の好きなベルギーの幻想画家アンソールの作品があります。悪魔というよりは仮面の世界。悪魔的な仮面によって人間の裏の本性を暴き出そうアンソールは試みました。

それと知らなかったので、驚いたのですが、モダンアートのニキ・ド・サンファルがタロットの悪魔のカードをモチーフにしたオブジェの紹介も。で、何が驚いたのかというとニキ・ド・サンファルが20年近くかけてタロットの大アルカナの22枚をテーマにオブジェにしたタロット・ガーデンなるものがあるということを知ったことです。そんなのが、あるんだと。

こうしてみていくと悪魔は最初は邪悪なものとして忌むべき対象となっていたのが近代になり、もっと親しいように画かれていくようになるのがよくわかります。人間存在を見つめるにあたり、人には陰陽の2面性があることを受け入れ、必ずしも人は善のみにあらずと、問の幅や表現の幅が膨らんできたということかな。そこには権力のあり方とそれにともなう自由のあり方も関わっているでしょう。

その意味では日本は、YouTubeでワクチンというとコンテンツが削除されると騒がれた時期があるも、よくよく考えるとYouTubeは無料で使える映像媒体で、民間が経営するもの。なのでそうしたことはありえるわけなので、表現の自由が許されている幸せな国だと私は思います。

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