装飾豊かなアルフォンス・ミュシャの絵にあらためて感動
「MUCHA(ミュシャ)グラフィック・バラエティ」展 (うらわ美術館)
うらわ美術館で開催中の「MUCHA(ミュシャ)グラフィック・バラエティ」展(6/20まで)を観に行きました。アルフォンス・ミュシャは、アール・ヌーヴォーを代表する画家、私にとっては、その作品群は年を経るごとに惹き付けられていく存在になってきたように思います。
初めてミュシャの絵を観たのは20代の頃、その時はきれいな絵と感じた程度で別段惹き付けられるものはありませんでしたが、社会に出てデザインを必要とする仕事に関わることも増えてきて思うことは、ミュシャによる見る側のイメージを増幅させていくような仕事を段々すごいと思うようになってきました。
有名な女優サラ・ベルナールのポスターがありますが、今見ても全く色褪せていませんし、それを越えるようなポスターデザインを見かけたことがないと言ってもいい。それだけその造形は素晴らしいし、サラ・ベルナールという女優のイメージの増幅に一役も二役も貢献しているのは間違いないでしょう。
その影響は与謝野晶子といった文壇をはじめ、漫画、レコードジャッケットにまで及ぶのは、以前、渋谷のBunkamuraで開かれたミュシャ展で検証されたこと。
それともう一つ、ミュシャの装飾のルーツはケルト文様にあるというのをケルト文化について書かれた本で読みました。モダンな作風ながら、自然と共生する女神性を根底に表現しているように感じる要素なんだろか?とも思ったりします。
この展覧会では、よく知られたポスターだけでなく、本、雑誌、ポストカード、切手、紙幣、メニュー、商品パッケージなどが展示されておりいかにミュシャの絵がいかにチェコの社会に受け入れられていたかを伺えるものでした。紙幣となるとまさに国民的作家ですね。商業ポスターで人気となったミュシャなので、さしずめ日本で言えば手塚治虫の漫画がお札になったくらいのインパクトがあるんじゃないかと。(ちなみに、ユニークな絵のひとつに舞台芸術の衣装で日本神話の「イザナミ、イザナギ」というものがありました)