魂に訴えかける不朽の名作「あしたのジョー」を回顧する

「あしたのために あしたのジョー!展」(世田谷文学館)

漫画「あしたのジョー」は特別な作品。1968年から週刊少年マガジンで連載が始まり、1973年に伝説のラストシーンで最終回を迎えました。私は1968年当時は7歳、「あしたのジョー」の強烈な登場のしかた記憶がありますが、子供ゆえ毎週のようにマガジンを手にすることはできず、飛び飛びで読んでいました。少年院でジョーが丹下段平から「あしたのために」という手紙を受け取り、ジャブの練習をするところは、なぜか鮮烈に記憶しています。

赤軍派の「よど号」ハイジャック事件でわれわれは明日のジョーであると発言したことや、劇作家・寺山修司が力石徹の葬式を開催したりと社会現象にまでなっていった漫画ですが、リアルタイムで熱狂していたわけではありません。私が「あしたのジョー」に興味を持ったのは、アニメ作品一挙放送があり、それを見たことによります。

矢吹丈を演じるは、あおい輝彦。これ以上の適任の声はないと思いました。イメージにピッタリ。そして、その物語にどんどん引き込まれて生きました。一人のやんちゃな青年がボクシングを通して、どんどん成長していく。スポ根ものという以上に人生のドラマを感じさせてくれました。

先日、世田谷文学館で開催されている「あしたのために あしたのジョー!展」(2021年3月31日まで)を見に行ったのですが、展示されている漫画。ジョーが涙している場面や力石死後ボクシングで嗚咽している場面、メンドーサに挑む前の控室における白木洋子の愛の告白する場面、そして戦いを終えたジョーがその葉子にグローブを渡す場面・・・そんな漫画の展示をみていると、涙がこみ上げてきました。

なにがホントで、なにがウソなのか?世の中の動きが混迷する闇の中、自分を信じ生きる道を情熱的に真っ白に燃え尽きるまで突き進むジョーの物語が、とても大切なように感じました。

会場で「日めくり 毎日ジョー」が売られていました。毎日を熱く生きるための「あしたのジョ―」格言集です。これはいいね!(写真撮影がOKだったのも嬉しい!)

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