イスラエル発、かの国に移住したロシア系ユダヤ人老夫婦の話
映画「声優夫婦の甘くない生活」(2019年)
■製作年:2019年
■監督:エフゲニー・ルーマン
■出演:ウラジミール・フリードマン、マリア・ベルキン、他
イスラエル発の映画です。
そのイスラエルという国は建国されてから70余年の若い国。2000年前に世界中に離散したユダヤ人は自分たちの民族の文化を頑なに守ってきた。第二次大戦後、その国が約束の地に作られたことにより世界から続々と入植、移民してきたのです。この映画も1990年に鉄のカーテンが崩壊したソ連からイスラエルに移住してきた老夫婦が主人公です。
彼ら老夫婦は、ソ連で上映される外国語映画を吹き替えるスター声優でした。しかし、イスラエルではロシア語を話すわけではなく、いきなりの生活苦。夫は同じような境遇のソ連から移民したユダヤ人のための海賊版レンタルビデオに、妻は変幻自在の言葉を操りながらテレフォンセックスの職につくことになります。
新天地を求め、イスラエルにやってきたものの、当時は湾岸戦争勃発前で、イラクから毒ガス攻撃があるのではないかと政府からガスマスクが配布されます。そしてスカッドミサイルがイラクからイスラエルに打ち込まれる。サイレンが鳴り響く街。映画館にいた観客たちは恐怖におびえガスマスクを被る・・・。必ずしも彼ら夫婦にとってそこはバラ色ではなかったのです。
といいながらもイスラエルは絶えず戦争が起こっているイメージが付きまとい危険としか思い浮かばないのが一般的なのでしょうが、実はそんなことは全然ないというのが実情といっていいでしょう。私は2度イスラエルに行きましたが、ハイテク国家であり国防の力は大変なものであり安全そのものでした。むしろ今最も注目すべき国の一つなのではないかと思います。ニュースではいつも紛争しているものしか流れないのでそうしたイメージしか湧いてこない。
実際にイスラエルに行ってみると、日本という国の在り方について考えさせられることが多々あります。そして、個人的には日本とイスラエルは非常に親和性が高いと感じます。もっともっとイスラエルと日本は国交を深めていくといいなと感じています。生きること、国を守ることということについて、日本はイスラエルから学ぶべきところが実に多い国なので。
ということで、イスラエルで作られたこの映画、監督は移住二世であり親たちの苦労を描いた映画なのです。じっくり味わい深く描かれた作品ですが、コロナ禍によりイスラエルでは公開が遅れ、いち早く日本で公開されたというのも不思議な感じがします。
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