知の巨人の好奇心の広がりが、マンガラクタとは?
「荒俣宏の大大マンガラクタ館」展(千代田区立日比谷図書文化館)
博覧強記の怪物的存在の知識人とは荒俣宏さん、と言えるのではないでしょうか?プロフィールにもありますが、博物学、神秘学、風水などそのジャンルは多岐に渡り、あの小説「帝都物語」を書いた方です。
<マンガラクタ>、荒俣氏の造語ということなのですが、その意味は、‟マンガを含め、「だれかに発見されないかぎり、ずっとゴミくず同然に埋もれてしまう」ガラクタこそを面白がる、という価値観”ということ。
その「荒俣宏の大大マンガラクタ館」展が、千代田区立日比谷図書文化館にて開催されています。(12月16日まで)荒俣宏の展覧会となれば、どんなものがでてくるのか?見ないわけにはいけません。
展示の構成は「漫画と人生」「怪奇文学大山脈」「図鑑の博物誌」「アラマタ美術館」「奇っ怪紳士録」「帝都物語」「希書自慢」といたもの。図書館でこのような展示をするなんて、時代も変化してきたと思います。
ユニークなのは段ボールの中にコレクションや自信のメモなどが展示されていたということ。これは山のような本が段ボール箱の中に収まっているのでは?という企画者の意図なのか、はじめてそのような展示手法を見ました。コンセプチャルで面白い。
だいたい荒俣氏、高校時代に日本でほとんど紹介されていなかった海外の怪奇・幻想文学を洋書で読み漁り、大学では翻訳までしていたというから、かだではない。そうした時代、時代における荒俣氏のメモやコレクションなどが紹介されており、とても興味深く拝見しました。
ところでこの図書館は、別のフロアで、蔵書で荒俣宏氏の本や関連本をあつめて「荒俣宏の描いた帝都・東京」というコーナーも作っており、そのような試みを面白いと感じました。図書館は知の宝庫であり、利用者はその知を求めてやってくるのだから、もっともっとキューレーション能力を活発化させていけばいいと思いました。
別の本のコーナーでも、まるで本屋のようにテーマを持たせた本の紹介コーナーがあり、それがきっかけで利用者の興味が広がったりする可能性があるのだから、楽しさ、面白さを恐れることなく追及してほしいと思う。そうなれば、図書館に行く楽しみが増えていくのだから。